カメラ達
写真家 甲斐扶佐義のカメラ
時々修理を受け持っている。彼は今でも機械式のフィルムカメラで写真を撮る。
最近はニコンをメインに使っているようだが、このFTはかなり使い込まれている。指があたる部分の梨地は剥げて真鍮が微妙にへこんでいる。ボディー全体が汗臭くねっとりとした感触。レンズも内部に金属片の細かい屑が無数にあった。絞り等の作動部分の摩耗が原因か?ペンタプリズムも腐食しており、ファインダーは大変見えにくい。腐食していないプリズムに交換した。
これも結構使い込まれている。しかしFTほどではない。あちこちをぶつけ変形している。ファインダーユニットのダイキャストは割れている。現在メインカメラとして使われている。
このカメラはたまに使うようだ。距離がずれていてピントが合わないということで修理。借り物のカメラ。内部を見てみると、おかしな部分がいくつかあった。
これはずいぶん前に一度だけ修理した。かなり使い込まれているが、現在は見かけないのでほとんど使われていないと思う。
左の写真は修理後の写真。
甲斐氏の大きな手には、小さすぎるカメラ。
先日(9月3日)、甲斐扶佐義パリ行き出発4日後に控え、壮行会で広角専用機のFM2が調子が悪いということで、預かってきた。シャッター下りず、症状は巻上げが空回り。電池かな?と思ったが、FM2の電池は露出計のみで、シャッターは機械式のはず。電池を入れ替えたりすると、シャッターが下りたが、また同じ症状。どうもおかしい。やはり電池は関係なく機械的な問題。底蓋をあけてみると、ネジが一つ、巻き上げカム付近に異物として挟まっている。取り除いてみたが症状変わらず。
よくよく観察すると、ネジが挟まっていた付近の金属板の角度に問題があることが解った。それを修正。
修理を終えたカメラが無事使われている様子はこちら(Youtube)
このカメラは甲斐氏のカメラではない。甲斐氏が経営する「ほんやら胴」と「八文字屋」の常連客である「お板さん」の御爺さんが使っていたもの。1929年のものだが、シンプルな形(特に蓋を閉じた状態のとき)は、非常に美しい。
これは、同じく「ほんやら胴」で知り合いになった井上さんのもの。井上氏の叔父さんが民俗学者の宮本常一に憧れて、フィールドワークカメラとして使っていたものだそうだ。レンズの状態が悪いということで預かった。このカメラはハーフ版の完全マニュアルコンパクトカメラ。 無駄な形はほとんどなく、機能を追求した結果の、素晴らしい形をしていると思う。
ここにあるカメラ
最もコンパクトな中判(6×6)スプリングカメラ。カラースコパー80mmF3.5。
製造年代:1954年
ペルケオの名の由来は、ハイデルベルグの人気者、大酒飲みの小男ペルケオと言う人物。
ハーフ判一眼レフ。40mm(標準55mm相当)F1.4付。手元にある交換レンズ:38mmF1.8、100mmF3.5、100~200mmF5。
製造年代:1966年
巻き上げ音:小・「グリリッ」、シャッター音:大・「ジャン」
35mmフルサイズ。指針式露出計を備えたフルマニュアル機。40mmF2.8沈胴式。
製造年代:1968年
巻き上げ音:小・「チャリリッ」、シャッター音:小・「チャン」
ペトリカラー35と同じ優秀なレンズを備えたEEカメラ。8秒程度の長時間露光もEEが働く。
製造年代:1971年
巻き上げ音:中・「コリリッ」、シャッター音:中・「チャリッ・・チャ」
旧ソ連製、ずっしり重たいLマウントボディー。巻き上げはレバー式だが、シャッターダイヤル設定はとても古臭いやり方。
製造年代:1977年・・比較的新しいのに旧式メカニズム
巻き上げ音:小「ジイー」、シャッター音:中・「カチャ」
巻き上げ完了後にシャッターダイアルを引っ張り上げてシャッタースピードを設定する。
フィルムの巻き戻しは、シャッターボタンの台座部分を押し下げながら回し、フィルムロックを解除してから巻き戻す。
ソニーのNEX-5、以前からレンジファインダー用のレンズ(主にフォクトレンダー製)をデジカメで使いたいと思っていた。残念ながらフルサイズではなく、約1.5倍の画角になるが、それなりにレンズの特徴は出せるようだ。
撮影は意外と軽快に行える。絞りはレンズ側のリングで操作し、ピントは精細なモニターで意図する箇所を拡大表示、ぴたりと合わせられ、シャッタスピードとISO感度はカメラ任せとしておけるほど高感度に強い。
レンズの絞りリングを手動で操作する撮影手順がアナログフィルムカメラの操作感を思い起こさせる。
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現在はα7sを使用してます。